離婚した親が死んだら連絡がくる?連絡を受けた場合の対応方法を解説

親が離婚しても、子は親の相続人という地位を失いません。しかし離婚した親と疎遠になっていたり音信不通になっている場合、その親が亡くなった(相続が発生した)ことをどうやって知るのでしょうか。この記事では想定されるケースととるべき対応について解説します。

 

離婚した親と相続人の関係

厚生労働省の調査『令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況』によると、2020年の離婚件数は全国で193,253組でした。同じ年の婚姻件数が525,507組で、単純に比較すると離婚する人の数は結婚する人の数の35%に達しています。このように夫婦の離婚は非常に「ありふれている」ため、離婚が相続に及ぼす影響についてしっかり理解しておくことが重要です。

 

親が離婚しても子は法定相続人

夫婦は離婚すると「他人」になり、当然ながら互いに相続人としての地位を失います。しかし日本には親子関係を解消する制度はありません。たとえ両親が離婚して親の戸籍から子供の名前が消えても、その子供は引き続き相続人です。

このため両親が離婚して疎遠になったり音信不通になったとしても、親が亡くなれば子供は相続人として相続手続を行い、遺産を相続することになります。

関連記事:『親が離婚したら子供の相続分はどうなる?相続に必要な手続きについても解説

 

マイナスの財産も相続する

親が離婚した子供の相続も、そうでない子供の相続も特に違いはありません。現金や不動産といったプラスの財産はもちろん、借金や連帯保証人の身分といったマイナスの財産も相続の対象です。

ただし親が音信不通だったようなケースでは相続の発生(親の死亡)をすぐに知らされないことも多く、相続放棄や限定承認といったマイナスの財産に対抗することが多少難しくなってしまうこともあり得ます。

このため離婚した親がいる人は、いずれ来る相続発生の日を頭の片隅に置いて、常に相続手続や相続放棄についての情報にアンテナを張っておくと良いでしょう。

関連記事:『相続放棄すべきケースとは?相続放棄の申述方法についても解説

 

離婚した親が死んだ場合の連絡について

では実際問題として、音信不通の親が亡くなったことはどのように知らされるのでしょうか?これまでの事例を見てみると、大きく分けて3つのケースが考えられます。

 

他の相続人から連絡がくるケース

もっともあり得るのが「他の相続人からの連絡」です。この相続人は互いに顔見知りであるとは限りません。もしかすると親の再婚相手やその子供といった、存在すら知らなかった人物である可能性もあります。たとえ音信不通でも戸籍をたどれば親子関係は判明するため、向こうの家族が相続人調査を行い、遺産分割協議のために連絡をしてくるというケースです。

 

市役所から連絡がくるケース

次にあり得るのが「市役所(市区町村役場)からの連絡」です。亡くなった方が一人暮らしをしていた場合などでは、病院やアパートの大家さんから連絡を受けた市役所が身寄りの調査を行い、判明した家族に遺品や遺骨の引き取りを依頼するため連絡してくるケースが考えられます。

 

警察から連絡がくるケース

「警察から連絡がくる」こともあります。事件や事故に巻き込まれて亡くなった場合や孤独死などの不審死では警察が死亡時の調査を行うため、その過程で遺品などから家族の手がかりを見つけて連絡するというケースです。場合によっては遺体の引き取りを依頼されることもあります。

 

連絡がこないケース

もちろん、必ず連絡が来るとは限りません。「離婚した相手との間に子供」という存在を気づかれないまま、死亡後の処理や相続手続が終了してしまうケースもあるでしょう。このような事情は子供の側から知りようがないため、もはや手の打ちようがありません…。

 

連絡が受けた場合の対応について

親族からにせよ市役所や警察からにせよ、「親が死んだ」という連絡を受けたら何らかの対応が必要です。では具体的にどのような行動をすれば良いのでしょうか?

 

関わりを持ちたくない場合


関わりたくないから、面倒臭いからといって「何もしない」というのはお勧めできません。というのも、万一亡くなった親が大量の借金を背負っていた場合、一定期間内に相続放棄をしなければ自分がその借金を背負ってしまう(相続してしまう)ためです。

もし「一切関わりたくない」ということであれば、すぐに家庭裁判所で相続放棄の申述をすることができます。このとき他の相続人がいるなら、家庭裁判所が発行する「相続放棄申述受理証明書」を送ることでその後の手続に関わる必要もなくなります。

このとき注意すべきなのは、相続放棄の申述ができるのは「相続の開始を知った時から3か月」以内ということです(これを「熟慮期間」と呼びます)。財産調査をする必要がないなら、連絡を受けた時点で手続きを開始すると良いでしょう。

関連記事:『相続放棄を自分でやってみたい人へ!専門家に依頼するメリットについても解説
関連記事:『相続放棄が認められない相続財産とは?相続で失敗しないためのポイントを解説

 

相続を検討する場合

多少でも相続の可能性を検討するつもりがあるなら、まずは財産調査を急ぐべきです。同時に(まだわかっていないなら)相続人調査も行います。

亡くなった親が住んでいた家の中や所持品をくまなく調べるには、膨大な手間や時間がかかります。もし仕事の都合などで時間がとれそうもない場合、専門家に依頼するのも一手です(ただし遺品処理業者などに依頼すると財産や財産につながる証拠までまとめて処分される可能性があるため、相続専門の行政書士などに相談することをお勧めします。

調査を行った結果プラスの財産が十分にあるようなら相続手続を進め、マイナスの財産が多いようならすぐに相続放棄の申述を行いましょう。相続放棄は最初に連絡を受けてから3か月以内に行う必要があります。

関連記事:『相続発生後の財産調査はどうすればいい?財産ごとの調査手順について解説
関連記事:『孤独死は相続手続に影響する?手続きの流れから注意点までまるごと解説

 

他の相続人との関わり方

離婚した親の再婚相手や再婚相手の子など、他の相続人がいる場合は「関わり方」にも注意が必要です。

もし一切の相続に関わりたくないならすぐに相続放棄をして、最小限の関わりで済ませることもできます。しかし相続調査をしてから態度を決める場合、相続調査の過程やその後の遺産分割協議で他の相続人と協力しなくてはなりません(遺産分割協議書には相続人全員の署名捺印が必要です)。

ですから他の相続人から連絡を受けたとき、もしくはこちらから他の相続人を見つけて連絡するときは、できるだけ礼儀正しく接することが大切です。そしてできるだけ早く話し合いの場を持つようにしましょう。間違っても勝手に財産を処分してはいけませんし、遺産分割の内容を一方的に決めてしまうこともNGです。

関連記事:『他の相続人に遺産相続手続の「お礼」は必要?お礼の相場やお礼状の例文も紹介

 

まとめ

離婚した親が亡くなったら、子供は相続人として各種手続をする必要があります。疎遠になっていた相手のために時間や手間を割きたくないと感じるかもしれませんが、自分がトラブルに巻き込まれないためにも、やるべきことはきちんと行うようにしましょう。

行政書士・富樫眞一事務所では、横浜及びその周辺地域(神奈川、東京、埼玉、千葉)で上記遺産相続問題でお悩みの方に適切な解決策をアドバイスさせて頂きます。
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