相続について相談できる公的機関はどこ?内容に応じた相談先と利用上の注意点

相続手続についての相談は、市役所をはじめとする公的機関でも受け付けていることがあります。この記事ではそれぞれの公的機関がどのような相談に対応しているか、公的機関に相談するメリット・デメリットにはどのようなものがあるか説明していきます。

 

相続相談できる公的機関について

相続相談というと、一般には弁護士や行政書士、司法書士への相談をイメージするかもしれません。確かにこれらの専門家は相続手続のプロとして、相談から実際の手続代行まで幅広いサポートを提供しています。

関連記事:『遺産相続は誰に頼むのがベター?各専門家の業務範囲や費用・注意点についても解説
関連記事:『相続手続で頼れる専門家とは?行政書士と弁護士の違いについて解説

しかし相続手続の多くは公的な手続きです。このため公的機関が相続に関する相談を受け付けていてもそれほど意外ではないでしょう。実際、市役所をはじめとする多くの公的機関が相続手続の相談に乗ってくれます。

 

対応内容は公的機関によって異なる

公的機関での相談は、基本的にその機関で行う手続きに関するものです(ただし市役所では相続一般の相談を受け付けています)。どのような相続手続について相談したいかによって相談先が変わるという点はしっかり覚えておきましょう。

 

相続について相談できる公的機関一覧

相続相談ができる公的機関には、市役所や税務署、裁判所、法務局があります。また法務省が管轄する「法テラス」でも、相続トラブルに関する相談が可能です。ここでは各機関ごとに相談できる内容を紹介します。

 

市役所(市区町村役場)

市役所は市民にとって最も身近な公的機関です。相続手続では戸籍謄本や住民票、印鑑証明書といった書類収集のために利用しますが、実は相続一般についての無料相談窓口も設けています。

基本的に、相談に対応してくれるのは弁護士や行政書士、司法書士、税理士などの専門家です(自治体によって違います)。専門家の事務所を直接訪ねるのは敷居が高いと感じている人も、まずは専門家と話す最初のステップとして気軽に利用できるのが魅力でしょう。

ただし市役所の相続相談は曜日や時間が決められていることが多く、相談時間も20分前後と制限されるのが一般的です。同じ内容について相談できる回数が決められていることも多いため、相談したい内容をしっかりまとめていかないと本題に入る前に時間切れになってしまいます。

相続相談の利用条件は自治体ごとに違うため、あらかじめ市報や市のWEBサイトなどでしっかり情報収集したうえで、上手に利用してください。

関連記事:『相続放棄の手続きは市役所でできる?相続発生時の市役所の活用方法について解説

 

国税局/税務署

国税局や税務署では相続税についての無料相談を定期的に実施しています。たとえば「国税局電話相談センター」は電話による相談を受け付けていますし、各地域の税務署でも電話や対面による相談が可能です。

税務署での相談は事前予約が必要ですが、市役所とは違い時間の余裕は十分にありますし、実際の書類を見ながら具体的なアドバイスもしてもらえます。相続税の計算や申告書の作成、各種特例制度の利用など相続税の手続は複雑で理解が難しいものも多いため、不安な点があれば遠慮なく相談するようにしましょう。

 

家庭裁判所

家庭裁判所と関係のある相続手続といえば、主に相続放棄や遺言書の検認などが思い浮かびます。裁判所では「家事手続案内」という名称で、これらの手続に関する相談を受け付けています。

相続と関係のある「家事手続」は以下の通りです。

  • 相続放棄
  • 限定承認
  • 期間伸長(熟慮期間を延長したい場合の手続き)
  • 遺言書検認
  • 遺言執行者選任
  • 遺留分放棄
  • 相続財産管理人選任
  • 不在者財産管理人選任
  • 特別代理人選任

家事手続案内の内容は、主に手続の流れや必要書類・費用などに関する説明や案内です。相続トラブルに関する法律的なアドバイスなどは行っていないため、そのような相談をしたい場合は市役所の相続相談を利用するか、弁護士事務所に直接相談したほうが良いでしょう。

家事手続案内には時間制限もあります(おおむね20分以内)。受付時間は各地域の家庭裁判所によって違うため、電話で尋ねるか、WEBサイトで確認してください。

 

法務局

法務局は相続登記(不動産の名義変更)を行う公的機関です。相談できる内容は登記に関するものですが、個別の事案についてのアドバイスというより登記申請書記載例を使った申請手続の一般的な説明が中心です(申請書の作成や添削は行っていません)。1回あたりの相談は20分以内なので、あらかじめ疑問点や質問事項をまとめておく必要があるでしょう。なお相談を希望する際は、電話か窓口での予約が必要です。

 

法テラス

法テラス(日本司法支援センター)は国が設置した法律相談窓口です。基本的には相談内容に応じて相談先(専門家)を紹介してくれる場所ですが、収入が一定以下で経済的な余裕がない人を対象とした「無料法律相談」も行っています。

参考リンク:『無料の法律相談を受けたい|法テラス』

 

公的機関に相談するメリットと注意点

公的機関の相続相談には、いくつかのメリットとデメリットがあります。それぞれを比較検討したうえで利用するようにしましょう。

 

メリット

  • 無料で相談できる
  • 専門家と気軽に話せる
  • 個人情報の管理が徹底している
  • 契約を迫られることがない(営業されない)

デメリット

  • 相談時間が短い(税務署などの例外あり)
  • 平日の昼間しか対応していない
  • 相談に回数制限がある(市役所など)
  • 専門家に直接依頼できない
  • 個別のアドバイスをもらえないことがある(家庭裁判所や法務局)

 

相談の前に行っておいた方がよいこと

メリット・デメリットにまとめた通り、公的機関(特に市役所、家庭裁判所、法務局)の相続相談では限られた時間を有効に使わなくてはなりません。このため相談をするときは事前の準備が不可欠です。

具体的には、自分が何を知りたいのか、何に困っているのかをきちんと整理したうえで相談先と相談内容を明確する必要があります。たとえば相続税についての疑問であれば市役所の相続相談(相続税相談)を利用することもできますが、税務署の方がよりふさわしいかもしれません。また登記の手続について知りたいだけなら、市役所の相続相談より法務局で説明を受ける方が確実です。

加えて、公的機関の相続相談が何をしてくれて、何をしてくれないのかも理解しておかなければなりません。市役所では専門家が相談に乗ってくれますが、具体的な依頼をその場で受けてもらうことはできません。また家庭裁判所や法務局が教えてくれるのは必要書類や費用といった手続きの進め方です。こうした理解もないまま公的機関に相談すると、時間をムダにしてしまいかねません。

 

まとめ

公的機関の相続相談は、メリットとデメリットがはっきりしています。相談する場合は必ず事前に内容をまとめ、しっかり計画を立てた上で、効率的な利用を心がけるようにしましょう。

 

 

行政書士・富樫眞一事務所では、横浜及びその周辺地域(神奈川、東京、埼玉、千葉)で上記遺産相続問題でお悩みの方に適切な解決策をアドバイスさせて頂きます。
どうぞ行政書士・富樫眞一事務所にお問い合わせください。

相続手続についての相談は、市役所をはじめとする公的機関でも受け付けていることがあります。この記事ではそれぞれの公的機関がどのような相談に対応しているか、公的機関に相談するメリット・デメリットにはどのようなものがあるか説明していきます。

 

相続相談できる公的機関について

相続相談というと、一般には弁護士や行政書士、司法書士への相談をイメージするかもしれません。確かにこれらの専門家は相続手続のプロとして、相談から実際の手続代行まで幅広いサポートを提供しています。

関連記事:『遺産相続は誰に頼むのがベター?各専門家の業務範囲や費用・注意点についても解説
関連記事:『相続手続で頼れる専門家とは?行政書士と弁護士の違いについて解説

しかし相続手続の多くは公的な手続きです。このため公的機関が相続に関する相談を受け付けていてもそれほど意外ではないでしょう。実際、市役所をはじめとする多くの公的機関が相続手続の相談に乗ってくれます。

 

対応内容は公的機関によって異なる

公的機関での相談は、基本的にその機関で行う手続きに関するものです(ただし市役所では相続一般の相談を受け付けています)。どのような相続手続について相談したいかによって相談先が変わるという点はしっかり覚えておきましょう。

 

相続について相談できる公的機関一覧

相続相談ができる公的機関には、市役所や税務署、裁判所、法務局があります。また法務省が管轄する「法テラス」でも、相続トラブルに関する相談が可能です。ここでは各機関ごとに相談できる内容を紹介します。

 

市役所(市区町村役場)

市役所は市民にとって最も身近な公的機関です。相続手続では戸籍謄本や住民票、印鑑証明書といった書類収集のために利用しますが、実は相続一般についての無料相談窓口も設けています。

基本的に、相談に対応してくれるのは弁護士や行政書士、司法書士、税理士などの専門家です(自治体によって違います)。専門家の事務所を直接訪ねるのは敷居が高いと感じている人も、まずは専門家と話す最初のステップとして気軽に利用できるのが魅力でしょう。

ただし市役所の相続相談は曜日や時間が決められていることが多く、相談時間も20分前後と制限されるのが一般的です。同じ内容について相談できる回数が決められていることも多いため、相談したい内容をしっかりまとめていかないと本題に入る前に時間切れになってしまいます。

相続相談の利用条件は自治体ごとに違うため、あらかじめ市報や市のWEBサイトなどでしっかり情報収集したうえで、上手に利用してください。

関連記事:『相続放棄の手続きは市役所でできる?相続発生時の市役所の活用方法について解説

 

国税局/税務署

国税局や税務署では相続税についての無料相談を定期的に実施しています。たとえば「国税局電話相談センター」は電話による相談を受け付けていますし、各地域の税務署でも電話や対面による相談が可能です。

税務署での相談は事前予約が必要ですが、市役所とは違い時間の余裕は十分にありますし、実際の書類を見ながら具体的なアドバイスもしてもらえます。相続税の計算や申告書の作成、各種特例制度の利用など相続税の手続は複雑で理解が難しいものも多いため、不安な点があれば遠慮なく相談するようにしましょう。

 

家庭裁判所

家庭裁判所と関係のある相続手続といえば、主に相続放棄や遺言書の検認などが思い浮かびます。裁判所では「家事手続案内」という名称で、これらの手続に関する相談を受け付けています。

相続と関係のある「家事手続」は以下の通りです。

  • 相続放棄
  • 限定承認
  • 期間伸長(熟慮期間を延長したい場合の手続き)
  • 遺言書検認
  • 遺言執行者選任
  • 遺留分放棄
  • 相続財産管理人選任
  • 不在者財産管理人選任
  • 特別代理人選任

家事手続案内の内容は、主に手続の流れや必要書類・費用などに関する説明や案内です。相続トラブルに関する法律的なアドバイスなどは行っていないため、そのような相談をしたい場合は市役所の相続相談を利用するか、弁護士事務所に直接相談したほうが良いでしょう。

家事手続案内には時間制限もあります(おおむね20分以内)。受付時間は各地域の家庭裁判所によって違うため、電話で尋ねるか、WEBサイトで確認してください。

 

法務局

法務局は相続登記(不動産の名義変更)を行う公的機関です。相談できる内容は登記に関するものですが、個別の事案についてのアドバイスというより登記申請書記載例を使った申請手続の一般的な説明が中心です(申請書の作成や添削は行っていません)。1回あたりの相談は20分以内なので、あらかじめ疑問点や質問事項をまとめておく必要があるでしょう。なお相談を希望する際は、電話か窓口での予約が必要です。

 

法テラス

法テラス(日本司法支援センター)は国が設置した法律相談窓口です。基本的には相談内容に応じて相談先(専門家)を紹介してくれる場所ですが、収入が一定以下で経済的な余裕がない人を対象とした「無料法律相談」も行っています。

参考リンク:『無料の法律相談を受けたい|法テラス』

 

公的機関に相談するメリットと注意点

公的機関の相続相談には、いくつかのメリットとデメリットがあります。それぞれを比較検討したうえで利用するようにしましょう。

 

メリット

  • 無料で相談できる
  • 専門家と気軽に話せる
  • 個人情報の管理が徹底している
  • 契約を迫られることがない(営業されない)

デメリット

  • 相談時間が短い(税務署などの例外あり)
  • 平日の昼間しか対応していない
  • 相談に回数制限がある(市役所など)
  • 専門家に直接依頼できない
  • 個別のアドバイスをもらえないことがある(家庭裁判所や法務局)

 

相談の前に行っておいた方がよいこと

メリット・デメリットにまとめた通り、公的機関(特に市役所、家庭裁判所、法務局)の相続相談では限られた時間を有効に使わなくてはなりません。このため相談をするときは事前の準備が不可欠です。

具体的には、自分が何を知りたいのか、何に困っているのかをきちんと整理したうえで相談先と相談内容を明確する必要があります。たとえば相続税についての疑問であれば市役所の相続相談(相続税相談)を利用することもできますが、税務署の方がよりふさわしいかもしれません。また登記の手続について知りたいだけなら、市役所の相続相談より法務局で説明を受ける方が確実です。

加えて、公的機関の相続相談が何をしてくれて、何をしてくれないのかも理解しておかなければなりません。市役所では専門家が相談に乗ってくれますが、具体的な依頼をその場で受けてもらうことはできません。また家庭裁判所や法務局が教えてくれるのは必要書類や費用といった手続きの進め方です。こうした理解もないまま公的機関に相談すると、時間をムダにしてしまいかねません。

 

まとめ

公的機関の相続相談は、メリットとデメリットがはっきりしています。相談する場合は必ず事前に内容をまとめ、しっかり計画を立てた上で、効率的な利用を心がけるようにしましょう。

 

 

行政書士・富樫眞一事務所では、横浜及びその周辺地域(神奈川、東京、埼玉、千葉)で上記遺産相続問題でお悩みの方に適切な解決策をアドバイスさせて頂きます。
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