行政書士の遺言書作成費用はいくら?費用の相場や他の専門家との違いについて

遺言書の作成にはさまざまな決まり事があります。遺言書を初めて書く場合、複雑な内容の遺言書を作成したい場合は、専門家にサポートを依頼するのがお勧めです。この記事では行政書士に遺言書作成を依頼した場合の費用について、わかりやすく解説します。

 

行政書士に依頼できる相続業務

相続手続を行う専門家には、行政書士、司法書士、弁護士、税理士などの種類があります。ただしそれぞれの専門家は法律で業務範囲を決められていて、一人(一種類)の専門家がすべての相続手続を行えるわけではありません。

ここではまず、「街の身近な法律家」と呼ばれる行政書士の相続業務について簡単に紹介します。

関連記事:『遺産相続は誰に頼むのがベター?各専門家の業務範囲や費用・注意点についても解説

 

遺言書の作成

行政書士は「遺言書の作成」をサポートできます。もちろん、遺言書の内容を考えるのは本人(遺言書を残す人)です。行政書士は遺言書が有効なものになるようアドバイスしたり、公証人役場で公証人と打ち合わせをしたり、公正証書遺言を作成する際の立ち会いなどを行います。

一例として、公正証書遺言を作成する際の流れは以下の通りです。

①法定相続人を確認する
②相続人に相続させたい財産や、相続人ごとの相続割合、遺贈の有無などを検討する
③遺言書案を作成する
④公証人と事前打ち合わせをする
⑤公正証書遺言の原文を作成する
⑥公証人役場で遺言書作成に立ち会う
⑦公証人から公正証書遺言の抄本を受け取る

行政書士はこれらの手続きについて代理(一部については依頼者に付き添い)できます。

 

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書は遺言書が存在しない場合に、相続人同士で話し合って(遺産分割協議)決めた遺産配分の確認書類です。行政書士は相続人同士の話し合いが成立した後、その内容を文書にすることができます。

なお行政書士は、相続人の「代理人」として遺産分割協議に参加することはできません(代理人になれる専門家は弁護士です)。

 

書類の収集

戸籍や住民票といった書類の収集はそれほど難しい手続きではありませんが、時間と手間がかかります。こうした書類の代行収集も行政書士が行う業務のひとつです。

 

相続人調査

行政書士は収集した戸籍を解読して、相続人を調査することができます。相続人の見落としがあると遺産分割協議が無効になってしまうため、この手続きも専門家に任せた方がよいでしょう。

 

遺留分侵害額請求

被相続人が一部の相続人に全財産を譲ってしまったような場合、他の相続人は「遺留分」の支払いを求めることができます(遺留分侵害額請求)。この手続きで行政書士に依頼できるのは、内容証明で相手に送る請求文書の作成です。

ただし、家庭裁判所の調停を求める場合や訴訟を起こす場合は弁護士に依頼する必要があります。

 

行政書士の遺言書作成費用

行政書士に遺言書作成を依頼する場合に費用(報酬)は事務所によってバラバラです。相続業務を取り扱っている行政書士事務所ならWEBサイトに料金表を掲示していることもありますが、実際には個別の事業に応じて追加業務が発生して費用が膨らむケースが少なくありません。ここではあくまで「相場」の費用をご紹介します。

 

遺言書の種類に応じた相場

行政書士事務所の遺言書作成費用は、作成する遺言書が自筆証書遺言か、公正証書遺言かによって大きく異なるのが一般的です。

  • 自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言は遺言者が遺言書を手書きで作成し、自宅などで保管する遺言書です(法務局で保管してもらう制度もあります)。この場合行政書士は内容のアドバイスや起案、作成した遺言書の確認などを行います。

費用の相場:5万円〜10万円程度

  • 公正証書遺言の場合

公正証書遺言とは、公証人役場という役所で作成してもらう遺言書です。本人が手書きする必要はありませんが、公証人の前で「口述」する必要があるため、公証人役場に出向く必要があります。また本人のほかに2名の証人も必要です。

行政書士が行えるのは、遺言書の内容のアドバイスと起案、公証人との事前打ち合わせ、公証人役場への付き添い、証人の手配などです。

費用の相場:10万円〜20万円程度

 

別途費用が必要になることも

作成する遺言書が自筆証書遺言の場合、基本的には行政書士報酬以外の費用は発生しません。ただし法務局に遺言書を保管してもらう場合は1件あたり3,900円の手数料が発生します。

一方、公正証書遺言を作成する場合は公証人役場に支払う手数料が必要です(行政書士に証人を手配してもらう場合も、1人あたり1万円程度の謝礼を支払うケースがあります)。

公証人役場の手数料は、以下の①〜⑤の合計です。

①基本手数料
次の表に基づき、相続人ごとに発生する目的財産の金額に応じた手数料を合計します。

目的財産の価格 手数料
〜100万円 5,000円
100万円超〜200万円 7,000円
200万円超~500万円 11,000円
500万円超~1,000万円 17,000円
1,000万円超~3,000万円   23,000円
3,000万円超~5,000万円 29,000円
5,000万円超~1億円 43,000円
1億円超〜3億円 43,000円に、5,000万円超過ごとに13,000円を加算
 3億円超〜10億円  95,000円に、5,000万円超過ごとに11,000円を加算
10億円超〜  

249,000円に、5,000万円超過ごとに8,000円を加算


②遺言加算
目的財産が1億円までは、基本手数料に11,000円を加算します。

③枚数加算
公正証書遺言の枚数が4枚を超えたときは、超えた枚数に応じて1枚あたり250円を加算します。

④交付手数料
公正証書遺言(正本・副本)の枚数に応じて1枚あたり250円を加算します。

⑤出張加算など
公証人が遺言者の指定する場所に出張する場合、以下の手数料を加算します。
病床執務加算:基本手数料の10分の5
日当:往復4時間までは1万円、4時間を超える場合は2万円
交通費:実費

 

遺言書作成を行政書士に依頼するメリット

遺言書は(自筆証書遺言も公正証書遺言も)専門家に頼らず個人で作成できるものです。しかし以下のようなメリットから、特に行政書士に依頼することをお勧めします。

 

遺言書をめぐるトラブルを防げる

遺言書には所定の形式があります。特に自筆証書遺言の場合、遺言書の全文と日付、氏名を遺言者自身が手書きして、押印しなければ有効になりません(「財産目録」の添付などについてもルールが決められています)。

行政書士に依頼すれば、うっかり「無効」の遺言書を作ってしまうというミスを防ぐことができるでしょう。

また遺言の内容にも注意が必要です。特定の相続人だけにすべての財産を与える内容だったり、相続人以外の人に財産を与える(遺贈)内容が含まれる場合、相続発生後にトラブルになる可能性があります。もちろんどのような内容の遺言にするかは遺言者の自由ですが、少なくともこうしたリスクを事前に指摘してもらえるのも行政書士に依頼するメリットです。

 

相談しやすい「街の身近な法律家」

行政書士は他の専門家(弁護士や司法書士)と比べて数が多く、比較的敷居の低い専門家です。大都市に集中している弁護士と違い、全国(ほぼ)どこにでも事務所があるため「街の身近な法律家」と呼ばれています。

弁護士に相談するのはちょっと…という方でも、気軽に相談に行けるのが行政書士のメリットです。

 

費用が安い

行政書士の最大のメリットといってもよいのが、費用の安さです。相続に関係した業務であれば、一般に弁護士に支払う費用の数分の1〜10分の1程度、司法書士と比べても割安なところがほとんどです(事務所によって異なります)。

行政書士は弁護士のように「代理人」にはなれませんが、「遺言書の作成」のような書類作成についてはプロフェッショナルといえます。できるだけ費用を抑えたい場合は、ぜひ行政書士の利用を検討してみてください。

関連記事:『遺産相続の手続きを行政書士に依頼するメリットは?行政書士の選び方を解説

 

まとめ

遺言書作成を行政書士に依頼する場合、費用の相場は自筆証書遺言で5万〜10万円、公正証書遺言で10万〜20万円程度になります。他の専門家と比べても割安なので、安心・安全とスムーズな相続のためにも、ぜひ行政書士を積極的に利用してみてください。

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