楽天銀行は手軽に利用できるネット銀行のひとつで、各種サービスが充実していることから人気を集めています。この記事では楽天銀行に口座を持っている方が亡くなった場合の相続手続について、手続きの流れや相続パターンに応じて準備する書類について解説していきます。
楽天銀行とは
楽天銀行は楽天グループに所属するネット銀行です。楽天グループ共通で利用できる楽天ポイントとの連携や、コンビニATMで24時間365日利用できるという手軽さ、ATM手数料や他行への振込手数料が簡単な条件を満たすだけで無料になるなど(回数制限あり)、便利なサービスが充実していることから人気を集めています。
ちなみに「楽天銀行」という名前を使い始めたのは2010年で、その前は約10年にわたり「イーバンク銀行」という名前で営業してきました。ネット銀行としては日本で2番目の歴史を誇り、口座数は現時点で1,200万以上(2022年1月末時点)に上ります。
楽天銀行の相続手続の流れ
銀行口座を持っている方が亡くなると、その口座は凍結されて入出金ができなくなります。これはどの銀行でも同じですが、細かな手続きは銀行ごとに違うため注意が必要です。
ここでは被相続人の死亡から口座の凍結、そして相続人への払い戻しまで、「楽天銀行の相続手続の流れ」について説明していきます。
なお、楽天銀行の手続きに「各種パスワード」や「暗証番号」は必要ありません。
①カスタマーセンターに連絡
まずはじめに被相続人(口座名義人)が亡くなったことを楽天銀行のカスタマーセンターに連絡します。この電話連絡によって相続手続が開始され、被相続人の口座がいったん凍結されます。
連絡方法…電話のみ
連絡先…カスタマーセンター(年末年始を除く9:00〜17:00)
フリーダイヤル:0120-776-910
携帯電話:0570-064-924(通話料有料)
国際電話:03-6832-2255(通話料有料)
②楽天銀行からの電話・書類の郵送
続いて楽天銀行から今後の手続きや必要書類について電話連絡があり、その後、必要な書類が相続人の代表者に郵送されます。
③楽天銀行への書類提出
相続人(の代表者)が必要書類を楽天銀行に返送します。この際、楽天銀行から郵送された書類への記入・捺印に加えて他の公的書類(戸籍謄本や印鑑証明など)も取り寄せる必要がありますが、揃える書類は相続のパターンによって異なります。
※詳しくは後ほど「用意する書類について」の項目で説明します。
④払い戻し手続き
必要書類がすべて提出されると、口座の払い戻し(相続人の代表者の口座に振込み)が行われます。払い戻しにかかる期間は、必要書類の到着からおおむね1〜4週間程度です。
払い戻しが完了すると被相続人の口座は解約され、「口座解約計算書」が発行されます。
用意する書類について
楽天銀行の相続手続に必要な書類は、遺言書の有無や遺産分割協議書の有無によって異なります。
ここでは、
①遺言書があり、遺言執行者がいるケース
②遺言書があるが、遺言執行者がいないケース
③遺言書がなく、遺産分割協議書があるケース
④遺言書がなく、遺産分割協議書もないケース
の4パターンに分けて説明します。
①遺言書がある&遺言執行者がいる
遺言書があり、遺言執行者がいるケースでは以下の書類を用意します。
【相続預金払戻手続依頼書】
電話でのやりとりの後、楽天銀行から送付される書類です。遺言執行者が署名・捺印をします。
【遺言書の原本】
遺言書の原本を提出します(確認後に返却)。なお自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の「検認」が必要です。
【被相続人の戸籍謄本】
被相続人(口座名義人)の出生から死亡まで、連続した戸籍謄本が必要です。こちらは発行から6か月以内のものを原本で提出します。なお返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【遺言執行者の印鑑証明書】
提出する印鑑証明書は発行から6か月以内の原本を提出します。こちらも返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【被相続人の住所が確認できる書類】
被相続人(口座名義人)の口座契約時の住所が確認できる書類を提出します。具体的には「住民票除票」「戸籍の附表」「運転免許証のコピー」「保険証のコピー」などです。
関連記事:『遺言が見つかったらどうすればいい?執行の手順と遺言執行者への報酬について』
②遺言書がある&遺言執行者がいない
【相続預金払戻手続依頼書】
電話でのやりとりの後、楽天銀行から送付される書類です。受遺者(口座から払い戻しを受ける人)が署名・捺印をします。
【遺言書の原本】
遺言書の原本を提出します(確認後に返却)。なお自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の「検認」が必要です。
【被相続人の戸籍謄本】
被相続人(口座名義人)の出生から死亡まで、連続した戸籍謄本が必要です。こちらは発行から6か月以内のものを原本で提出します。なお返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【受遺者の印鑑証明書】
提出する印鑑証明書は発行から6か月以内の原本を提出します。こちらも返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【被相続人の住所が確認できる書類】
被相続人(口座名義人)の口座契約時の住所が確認できる書類を提出します。具体的には「住民票除票」「戸籍の附表」「運転免許証のコピー」「保険証のコピー」などです。
③遺言書がない&遺産分割協議書がある
【相続預金払戻手続依頼書】
電話でのやりとりの後、楽天銀行から送付される書類です。相続人が署名・捺印をします。
【被相続人の戸籍謄本】
被相続人(口座名義人)の出生から死亡まで、連続した戸籍謄本が必要です。こちらは発行から6か月以内のものを原本で提出します。なお返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【被相続人の住所が確認できる書類】
被相続人(口座名義人)の口座契約時の住所が確認できる書類を提出します。具体的には「住民票除票」「戸籍の附表」「運転免許証のコピー」「保険証のコピー」などです。
【法定相続人全員、または代表相続人の現在の戸籍謄本】
戸籍謄本は発行から6か月以内の原本を提出します。返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【法定相続人全員の印鑑証明書】
提出する印鑑証明書は発行から6か月以内の原本を提出します。返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【遺産分割協議書】
楽天銀行にある被相続人の資産について、承継人を明示した遺産分割協議書が必要です。こちらは原本で提出し、楽天銀行で確認したあと返却されます。
関連記事:『行政書士に遺産分割協議書作成を依頼するといくらかかる?費用相場について解説』
④遺言書がない&遺産分割協議書がない
【相続預金払戻手続依頼書】
電話でのやりとりの後、楽天銀行から送付される書類です。相続人が署名・捺印をします。
【被相続人の戸籍謄本】
被相続人(口座名義人)の出生から死亡まで、連続した戸籍謄本が必要です。こちらは発行から6か月以内のものを原本で提出します。なお返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【被相続人の住所が確認できる書類】
被相続人(口座名義人)の口座契約時の住所が確認できる書類を提出します。具体的には「住民票除票」「戸籍の附表」「運転免許証のコピー」「保険証のコピー」などです。
【法定相続人全員、または代表相続人の現在の戸籍謄本】
戸籍謄本は発行から6か月以内の原本を提出します。返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
【法定相続人全員、または代表相続人の印鑑証明書】
提出する印鑑証明書は発行から6か月以内の原本を提出します。返却を希望する場合はメモなどでその旨を伝えます。
楽天銀行の残高証明書について
被相続人の預金額を正確に把握するためには「残高証明書」が必要です。楽天銀行の残高証明書の取得方法は以下のようになります。
申請者
相続人、相続人の代理人、遺言執行者、その他の相続権利者
※いずれも単独で発行を申請できます
手数料
524円(1通)
必要書類
- 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
- 申請者の身分や立場を確認できる戸籍謄本や委任状など
- 申請者の印鑑証明書(発行から6か月以内の原本)
申請の流れ
①電話で申し込み
②楽天銀行から「証明書発行依頼書」を送付
③記入した証明書発行依頼書と必要書類を楽天銀行に返送
④楽天銀行から「発行手数料のお知らせ」を送付
⑤発行手数料を振込み
⑥楽天銀行から「残高証明書」を送付
楽天銀行の手続きを専門家に任せるメリット
楽天銀行での相続手続は原則として相続人や遺言執行者が行いますが、行政書士などの専門家に依頼して任せることも可能です。専門家に依頼する主なメリットは次の通りです。
- 時間の節約になる
- ミスのない手続きをしてもらえる
- 相続に関する相談ができる
ちなみに相続人にもいろいろな種類があります。『遺産相続は誰に頼むのがベター?各専門家の業務範囲や費用・注意点についても解説』を参考にしながら、最もニーズを満たしてくれる専門家を選ぶようにしましょう。
まとめ
被相続人が楽天銀行に口座を持っていた場合、その口座の預金も相続財産の一部です。遺言書があればその内容で、遺言書がなければ遺産分割協議書で預金の払い戻しを受ける人を決めて、楽天銀行の相続手続を行う必要があります。ぜひこの記事を参考に、スムーズな相続手続を目指してください。