兄弟姉妹であっても、長年言葉を交わしていない場合や、何かのトラブルで不仲になってしまったまま年月が経ってしまったなどという方は少なくありません。
そんなときに突然の不幸で相続人となり、お互いに話し合わなければならなくなってしまったとき、どのようにしたらよいのでしょうか。
なかには、もう何年も連絡を取っておらず、連絡しても無視されてしまった方もいるでしょう。
しかし、遺産相続はそのような場合であっても相続人全員がそろって遺産分割協議をする必要があります。
遺産分割ができない状態だと何が起こるのか
相続人のなかに連絡の取ない人がいるからといって、その人を除外して遺産分割を行うことはできません。
したがって、連絡が取ないといつまでも遺産分割が放置されてしまうことになります。
こうなってしまった場合、どのような問題が起こるのでしょうか。
まず、不動産に関しては相続人の共有という形になってしまいます。
不動産を活用して家賃収入を得たり売買したりすることなども、すべての相続人の許可が必要になるため進められず、残された不動産をうまく活用できないまま、固定資産税や管理費の負担だけがかかり続ける事態となってしまいます。
また、相続財産を第三者に無断で利用されるリスクもあり危険です。
そのほかにも、遺産分割協議を行っていないと配偶者控除なども受けられないので、相続税として相続人に大きな負担がかかります。
したがって、1人でも連絡が取なかった場合には遺産分割協議が進まず、他の相続人全員に対して、金銭的にも労力的にも迷惑をかかることになるのです。
連絡が取ない相続人に対する対応法
それでは、このような音信不通の相続人に対してどのように対処していくことができるのでしょうか。
連絡は届いているが、無視をされている場合、上記のようなさまざまな不便や不利益を被るということを説明して、説得してみましょう。
相手が独立して新しい戸籍を作っていない限りは、戸籍附票を見ることで住民票が置かれている場所の住所を確認できます。
住民票の住所にもいない場合は、不在者財産管理人の選任を申し立てるという方法もあります。
これによって、行方のわからない相続人の代わりに財産を管理する人を選任することが可能です。
もし、連絡の取ない相続人が、生死不明の状態で7年以上経過しているのであれば、失踪宣言を行うことも可能です。
失踪宣言を行うと、その相続人は「死亡した」ときと同じ扱いになるため、遺産分割協議に参加する必要がなくなります。
まとめ
親族同士のトラブルなどによって、長年連絡をとりあっていなかった場合、気まずくなり連絡を無視しているというケースは家族内においても起こりうることです。
しかし遺産分割相続などの場面では、相続人全員がそろい、相続人同士で協力して話し合っていく必要があります。
音信不通の場合でも上記のように打つ手はありますが、迷惑をかかることになってしまうので、何かあったときは協力できるように、日ごろからコミュニケーションをとっておくことも重要です。