相続人調査とは、遺産の分割や遺産の名義変更などの各種手続きを行っていくうえで、相続人が誰なのかを戸籍謄本などで調べ、確定させることです。
被相続人が出生したときから死亡したときまでのすべての戸籍を取り寄せ、そこから法定相続人を調べます。
相続人の範囲は民法により定められています。
そのため、通常は親族内で話し合えば遺産分割協議は成立しますが、そうはいかない場合も少なくありません。
なぜ相続調査が必要なのか
相続は被相続人の死亡により開始されます。
相続財産は、このときから相続人全員の共有財産となり、遺産の分割を行っていくことになります。
遺産分割協議を成立させるうえで、「相続人全員で行わなかった遺産分割は無効となる」ということを忘れてはいけません。
つまり、遺産分割をするうえで、相続人が誰なのかをまず確定させる必要があるのです。
身内だけだと思っていた相続人が、調査していくうちに過去の認知や養子縁組などが判明し、増えることもあります。
また、そうして現れた第三者が遺産分割に協力的であるとは限りません。
実際、新たに現れた相続人が相続権を完全に放棄するケースは珍しく、何らかの相続財産を求めてくる場合が多いです。
そのため、相続人を確定させることは、相続手続きの大まかなビジョンを決めるうえで非常に重要になってきます。
相続人調査の方法
相続人調査のためには、まず被相続人の出生から死んだ日までの連続した戸籍をすべて集めなければなりません。
その戸籍の内容をもとに、誰が相続人になるのかを判断します。
具体的には、被相続人の死亡日が書かれた戸籍を取得するところから始めり、最新の戸籍から昔の戸籍へと順に追いかけていきます。
戸籍に書かれた内容を確認し、より古い戸籍があればその本籍地に行き戸籍の申請を行うか、郵送で取得するかのどちらかになるでしょう。
これを出生の戸籍にたどり着くまで繰り返し、相続人が誰なのかを判断するのです。
被相続人が本籍地を移した回数が多い方であった場合は、時間がかかることを覚悟しなければなりません。
戸籍謄本を読み解く
相続人の確定のためには、被相続人の戸籍を一生分さかのぼる必要があります。
古い戸籍になるほど、現在の形式とは異なっており、一般の方が読み解くには多大な労力を要するでしょう。
大正や明治時代の戸籍になると、まず一般の方が読み解くことは難しいです。
また、遠方の戸籍については基本的に郵送での申請を行う必要があります。
そのため、そもそも戸籍を集めるところから読み解くまでに、多大な時間と手間を費やすことになります。
相続人調査を確実に進めるためには、法律の専門家に依頼するのがおすすめです。
莫大な手間をかけたにも関わらず抜けや漏れが発生し、遺産分割が無効になることを防ぐためにも、プロに依頼することを検討しましょう。
