通常、人が亡くなった際には、さまざまな事務手続きが必要です。
以前は亡くなった方の子どもによって行われるのが一般的でしたが、現在は二世帯で暮らす家族が減り、子どもがいない方も多いため、変化してきています。
死後に事務手続きを行ってくれる家族・親戚や知人がいない場合は、死後事務契約によって手続きを委託しておくのがおすすめです。
そこで今回は、死後事務が必要になる例や、死後事務契約についてご紹介します。
死後事務が必要な事項
死後事務には死亡届の提出や戸籍上の手続き、保険や年金関係の手続きだけではなく、葬儀・火葬・納骨・埋葬・親族への連絡など、死後必要になるすべての事務が含まれます。
永代供養を行う場合でも、そのための手続きが必要です。
亡くなった方の生活用品や家財道具など、遺品の整理・処分手続きも必要です。
また、生前に医療機関や老人ホームを利用していたのであれば、それらの利用費を清算しなければなりません。
最近ではSNSやブログを利用している方も多いので、アカウント閉鎖や退会手続き、死亡告知などインターネット上での手続きが必要になる場合もあります。
スマホやパソコンを所有していたのであれば、それらのデータ消去も必要です。
死後事務の作業内容は幅広く、時間と手間がかかる事務作業ですが、不都合を避けるためにもきちんと行うのが大切です。
死後事務契約について
膨大な作業となる死後事務ですが、引き受けてくれる家族・親族がいないため、心配している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合に利用できるのが、「死後事務契約」です。
死後事務契約とは、自分の死後に死後事務を引き受けてくれるよう、あらかじめ依頼しておくことです。
家族・親族や知人でも構いませんが、司法書士や行政書士などの専門家に頼んでおくこともできます。
必要な手続きを理解している専門家であれば、死後すぐに動き始めることができます。
スムーズに手続きを進めたい、家族の負担を減らしたいのであれば、専門家に依頼するのがおすすめです。
死後事務契約における取り決めは適用範囲が広いので、自分の葬儀のことやお墓のこと、ペットのことなど細かく指定できます。
ただし、死後事務契約では財産の引き継ぎに関して取り決めることはできません。
遺産は誰に継がせたい、どこに遺贈したいといった内容は依頼できないので注意しましょう。
遺産や相続に関する事項は、遺言書によって定めておかなければなりません。
つまり、死後事務契約だけでは遺産に関する事項は取り決められず、遺言書だけでは自分の死後手続きについて定められないということです。
したがって、どちらか一方だけでなく、死後事務契約と遺言書をセットで用意しておくほうがよいでしょう。
死後事務は大変な作業だからこそ、生きているうちに作業量を減らしておくのも重要です。
利用予定のない契約を解消しておいたり、使用しないアカウントを消去しておいたりすることで、死後事務を引き受ける方の負担を減らすことができます。