葬儀が終わり身の回りを整理し始めると、気になるのが相続問題ではないでしょうか。
遺産分割を具体的に決めるまでには、相続人での話し合いが必要になります。
場合によっては揉めたり、遠方でなかなか話し合いができなかったりするなど、話し合いに時間がかかることが多いでしょう。
しかし、そんな話し合いや手続きの間にも、土地や家屋などの管理は必要です。
そこで今回は、あまり知られていない遺産分割までの管理について、管理方法とその費用の処理についてご説明します。
遺産分割するまで管理が必要になるもの
遺産として分割される相続財産は下記のとおりです。
- 土地・家屋などの不動産
- 車、家具、書画骨董
- 現金、貴金属
- 預貯金、有価証券(株式、国債、地方債、社債、手形)、貸付金などの金銭債権
- 株主権
- 賃貸借権
- 負債(マイナスの財産)
このなかでも管理が必要となる代表的な相続財産は、「土地・家屋などの不動産」「車・家具、書画骨董」などでしょう。
家屋や敷地の手入れ・水道光熱費以外にも、固定資産税や自動車税など、毎年納付しなければならない税金などがあります。
遺産分割するまでの管理方法は?
遺産分割するまでは、相続人全員が共同で管理するか、相続人のうちの誰を代表にして管理を任せるというのが代表的な方法です。
相続人が関わることで余計に揉めそうな場合は、相続人以外の第三者を管理人として選定することもできます。
相続人が共同で管理する場合:相続人が共同で管理する場合は、基本的に民法に基づき、「各相続人は相続分の割合に応じて管理する権限をもつ」ことになります。
基本的には相続人全員の合意のもとで管理することになりますが、家屋の修理・補修、固定資産税・火災保険料の支払いなどの保存行為は、相続人が単独で行うことが可能です。
相続人のなかから代表者を選んで管理を任せる場合:相続人のなかから代表者を選出し管理を任せる場合は、代表相続人を相続人全員の合意により決める必要があります。
特別な手続きは必要なく、相続人全員の話し合いで決められますが、トラブルを回避するためにも話し合いの記録や担当する役割などを書面で残しておくとよいでしょう。
第三者を管理人として管理を任せる場合:相続人が遠方に住んでおり管理が難しい場合や、相続人同士の仲があまり良くなく共同で管理することが難しい場合、または相続人全員が相続放棄し実質的に相続する者がいなくなってしまった場合には、第三者を財産管理人として管理を任せるという方法があります。
その場合は、相続財産の保存に必要な処分として、家庭裁判所に対して財産管理人の選任申し立てをする必要がありますので、行政書士や弁護士などに相談したほうがよいでしょう。
遺産分割するまでにかかった管理費用はどうするか?
遺産分割までの管理費はどのように処理すべきでしょうか?
民法では、「相続財産に関する費用は、その財産のなかから、これを支弁する」と定めていますので、基本的には相続財産から清算することとなります。
最初に相続財産から費用を清算し、それぞれを分割するか、遺産分割とは別途に清算するかの2つの方法があります。
実務的には、最初に相続財産から管理費用を差し引いてしまい、残った分を分割するという方法がとられることがほとんどです。
どちらにしても、あらかじめ相続人全員で話し合い、合意を得ておくことが必須です。