合筆登記とは、互いに接している複数の土地を1つの土地にまとめる登記のことです。
複数の土地をひとまとめにして売りたい場合や、相続の際に相続分ごとに分割し直すために、複数の土地を1つにまとめたい場合などに行います。
原則として、合筆登記を申請することができるのは、その土地の所有者に限られています。
しかし、その土地が共有の場合や所有者が死亡している場合など、さまざまなケースがあります。
そこで今回は、相続の際の合筆登記についてご説明します。
土地の合筆登記の手順とは
合筆登記をする場合には、有効期限3ヶ月以内の登記申請人の印鑑証明書と、合筆するいずれかの土地の登記識別情報通知、または権利証が必要です。
手続きにはだいたい登記申請後1週間から10日程度の期間と、5万円程度の費用がかかります。
また、登記完了後には、合筆した土地について登記識別情報が通知されます。
相続の際の合筆登記
合筆登記の条件として同じ所有者名義であることが挙げられますが、故人名義の土地の場合は、まず相続登記を行い、相続人の名義に変更しなければなりません。
同じ所有者名義であっても、生存している所有者名義であることが前提となっているからです。
合筆登記申請は所有者本人の意思によってなされるものですから、所有者本人が亡くなっている状態での合筆登記申請はできません。
たとえ合筆したい土地の名義がすべて同一であったとしても、所有者が故人であれば、まず相続を先に行う必要があります。
また、合筆登記申請の添付書類の1つに、人確認のための印鑑登録証明書の提出がありますが、故人では提出が行えません。
基本的に、相続手続きのための合筆登記を行うためには、相続登記を先に済る必要があります。
相続登記は、すぐに相続できる場合もあれば、時間がかかるケースもあります。
法定相続人の人数が多かったり、故人の本籍が転々としていたりする場合には、その分戸籍謄本の数も多く必要になりますので、取得に数ヶ月程度の日数がかかることも珍しくありません。
また、相続登記をできるだけ早く行っておかないと、相続手続きが煩雑化するおそれがあります。
たとえば、所有者が亡くなった際の相続人が子ども2人であっても、数年のうちに子どものうちの1人が亡くなり、代襲相続によって生存している故人の子どもと、亡くなった子どもの配偶者や孫が相続人になることもあるでしょう。
所有者に子どもがいなかったり、相続登記までに亡くなってしまっていたりする場合に、被相続人の両親が亡くなっていれば兄弟姉妹、または甥姪までもが相続人になる可能性があります。
相続人数が増えるほど手続きは面倒になりますし、トラブルのもとになる可能性もありますので、相続登記はできるだけ早く済ておきましょう。
手続きや申請、必要な書面の収集にかけられる時間が少なく、確実に行える自信や経験がない方もいます。
そのような場合には行政書士など、経験の豊富な相続の専門家に相談し、迅速に手続きを済てしまうのもおすすめです。