遺産相続で遺族が揉めないようにするためには、生前に遺言書を作成しておくことが非常に効果的です。
最近は認知症・アルツハイマーに対する理解も深まり、正常な判断ができなくなる前に遺言で死後のことを決めておきたいという方も少なくありません。
そこで今回は、「終活」の一部で遺言を作成したいと考える方に向けて、覚えておきたいポイントをまとめました。
遺言書は何度でも書き直し可能
遺言書は法律上、15歳以上の方が書いたものに効力があると認められているので、書きたくなったときにいつでも書くことができます。
遺言書は一度書いていたとしても、書き直したり修正したりすることも可能なので、遺言書を書くのが早すぎるということはありません。
相続させたい遺族が増えた、気が変わったなどの理由から、遺言書を実際に書き直す方も多くいらっしゃいます。
遺言書が死後複数見つかった場合、一番日付の新しいものが有効です。
ただし複数の遺言状があっても、それぞれの遺言状に矛盾が発生しない場合、古い遺言状に書かれている項目も有効となります。
もちろんトラブルを避けるためにも、最新の遺言状を作った場合は古い遺言状を破棄しておくのが一番です。
公正証書遺言を作るためには
遺言書は法律上「証書遺言」と呼ばれ、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に分類することができます。
自筆遺言証書は名前のとおり、自筆でなければいけない点に注意が必要です。
パソコンなどで書いた遺言状は、本人が作ったものであっても自筆遺言証書として認められません。
一方で、公正遺言証書は公正証書役場で公証人・証人の立ち会いのもとで作られる遺言書です。
たとえば麻痺などで本人がすでにペンを持てなくなっている場合でも、公正遺言証書であれば遺言を作成できます。
また、公正証書遺言は公証役場で原本が保管されるので、他人に内容を見られて改ざんされるなどのリスクがありません。
公証人が形式を確認しながら遺言を作るので、不備があって遺言が認められないというトラブルとも無縁です。
公正証書遺言を検討する場合、行政書士や司法書士といった専門家に依頼して手続きを進めるのが確実です。
遺言書で法的効力をもつ項目
遺言書で書けば何でも遺言のとおりになるということはありません。
具体的には「相続」に関することがほとんどで、相続分を指定したり、遺産をどうしても相続させたくない相続人を廃除したりといった項目を遺言書に遺しておくことができます。
そのほかにも、後見人の指定や子どもの認知に関することなども遺言に遺しておくことが可能ですが、死後のお墓や葬儀・埋葬の方法などは遺言の効力を発揮しません。
延命治療などに関する項目も遺言状で指定することができないので、自分が亡くなったとき・倒れたときにお願いしたいことがある場合は、遺言書とは別に「エンディングノート」を作っておくのがおすすめです。
「エンディングノート」は法的効力はありませんが、親しい家族・親族が読むことで、万が一のときに自分の医療に関する希望がとおりやすくなりますし、生前の感謝を述べることもできます。