海外にある遺産は、日本国内に保有する場合と取り扱いに違いが出る可能性があります。
海外の財産を相続することを、「国際相続」といいます。
今回は、海外に保有する遺産の取り扱いや手続きについての解説です。
国際相続の発生条件と法律について
海外遺産の種類について確認しましょう。
まずは海外に不動産を保有している場合です。
近年、海外不動産投資などが注目を集めているため、海外に不動産を保有していたことが発覚するというケースも少なくないでしょう。
また、預金口座を海外に保有している可能性もあります。
海外で生活していた方であれば、海外で口座を作ることも考えられます。
その際には、名義変更や解約などの手続きが必要です。
絵画や骨董品といった動産を保有していることもあります。
海外で生活しており、海外の家に価値のあるものを保有した場合、それらは遺産に該当します。
どの国の法律で相続するのか
次に相続する際、どの国の法律に従う必要があるかについて解説していきます。
遺産が海外にある場合、どの国の相続法が適用になるかを確認する必要があります。
不動産の場合は、本国法が適用されない場合があるので注意しましょう。
これは所在地の国の法律を準拠法としている国があるからです。
相続分割主義というものがあり、これは不動産に限り、所在地の国の法律に従うというものです。
反対に、どの遺産も同じように処理する国もあり、相続統一主義といいます。
ただし、最後に住んでいたところを基準に決められるケースもあるので、注意しなければいけません。
海外に保有している動産や預金口座などは、保有者の国の法律が適用されます。
遺産が海外にある場合どのような手続きが必要になるか
たとえばイギリスに不動産を保有していたとします。
このときに現地の法律に従うことになれば、手続きは複雑なものになります。
検認裁判が必要になる場合には、注意が必要です。
検認裁判とは、遺産相続手続きに裁判所が関与することです。
裁判所によって人格代表者が決められ、財産の調査などを行います。
最期に裁判所が財産分配の許可を出すのですが、ここまでに年単位の期間を要し、費用もかかります。
検認裁判が必要になると、相続人らにかかる負担が大きくなることは事実です。
将来必要になる可能性が考えられるのであれば、海外に保有する不動産は処分できるとよいでしょう。
手続きには多くの情報が必要になるので、相続人だけで対処するのは難しいです。
対応が必要になった際には、弁護士に依頼することも有効な手段といえます。
現地の弁護士やさまざまな専門家の関与が絡むケースも多いため、海外資産について理解がある弁護士に依頼すると、スムーズに進められます。
まとめ
今回は、遺産が海外にある際の相続の取り扱いや、手続きについてまとめました。
種類によって従う法律にも違いが出る可能性があるので、注意が必要です。
手続きは、相続人だけでは対応が難しい場合もあるので、弁護士への依頼も検討しましょう。
時間や費用もかかるので、下調べをして計画的に行動していくことが大切です。