遺産分割協議がスタートすると、遺産分割協議書の作成も開始されますが、必ずしも法律の専門家に手を借りる必要はありません。
法的に定められた様式や書式もありませんから、基本的な知識さえあれば自分で作成することが可能です。
ただし遺産分割協議書は、些細と思われるような部分であったとしても、記載項目に誤りがあってはなりません。
不動産に関わる記述などについては、1つでも数字の誤りがあると、遺産の相続手続きに支障をきたす恐れがありますので、注意しましょう。
遺産分割協議書において記載しなければならない内容とは
相続人のうち誰がどの財産を取得するのかを明らかにする遺産分割協議書では、それぞれの財産が正しく特定される情報を記載しなければなりません。
預貯金は銀行名や支店名の記載とともに、口座番号や口座の名義人を書くだけなので、それほど難しくはないでしょう。
ところが不動産の場合、日頃では見慣れない地番や家屋記号などの記載が求められる場合があります。
一軒家の場合には所在や地番、床面積なども正確に書き写す必要がありますし、不動産が共有持分の場合には割合の数字も書き違えてはなりません。
全部事項証明書といわれる不動産登記簿に記載されている内容をそのまま書けばいいものの、細かな数字などの誤りも許されないため、慎重な作業が求められます。
自分で遺産分割協議書を作成するうえでの注意するべきこと
遺産分割協議書とは、すべての相続人による署名と押印がそろうことによって、初めて有効となる重要な書類です。
作成を終えた後に遺産分割協議書に誤りを見つけた場合には、書類を改めて作成し直すとともに、相続人に対して再度署名と押印を依頼しなければなりません。
遺産分割協議書を作成する際には手書きが原則の遺言書とは異なり、パソコンの使用が許可されていますから、パソコンで雛形をダウンロードすれば、誰でも遺産分割協議書を作成できます。
このように個人で気軽に作成をはじめられるものの、繰り返し必要になる修正作業や相続人の全員に署名と押印を求める作業は大変な手間がかかるだけでなく、責任をもって取り組むべき書類の作成者としての信用を失いかねません。
そのため、煩雑な相続について遺産分割協議書を作成する場合には、専門家に依頼することをおすすめします。
遺産分割協議書とは、相続人同士における遺産の分割協議が確定したことを証明する重要な書類です。
被相続人が所有していた不動産の名義変更や、金融機関における名義変更や解約の手続きの際にも、遺産分割協議書は欠かせません。
相続税を申告する際に税務署に提出する書類としても欠かすことのできないものですから、一字一句間違えないように慎重になる必要があります。
遺産分割協議書を自分で作成しようと思ったときには一呼吸おいて、法律的な専門知識に少しでも不安を感じる場合には、プロフェッショナルに任せておいたほうがいいでしょう。