どんな家族でも争族は起こりうる
「争族」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「そうぞく」と読み、「相続」にかけた言葉です。
相続の際に遺産を巡って相続人の争いが起こることを意味します。
相続における最もありがちなトラブルが、遺産分割を巡って揉めることです。
「うちは家族や親族の仲がいいから大丈夫」「遺産が少ないから大丈夫」などと甘く考えてはいけません。
いざ相続が発生すると、些細なことで揉めたりこれまでにはない言動を発したりする人もいたりするので注意が必要です。
誰が何を相続するかで揉めたり、金額が多い少ないで揉めたり、自分は介護をしたのだから多くもらえるはずだと主張したり、それぞれの立場から要求を出してくる親族が現れることがあります。
遺産が自少ないのに法定相続人が複数いる場合も争族になりやすいです。
父親が亡くなり、同居していた母親は相続して住みたいと思っても、子どもの一人が売却して金銭で分けようなどと言い出し、話し合いが暗礁に乗り上げるケースもあります。
遺産分割協議は法定相続人全員が合意しないと整わないため、一人でも反対したり、話し合いで揉めてしまうと、最悪の場合、家庭裁判所での審判が必要となり費用や手間がかかってしまいます。
借金が多くてパニックが起こる
相続は思いがけない利益を得られるものだとイメージしている方は少なくありません。
しかし相続はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も承継します。
生前から借金の存在が分かっているケースだけでなく、亡くなって初めて多額のカードローンやショッピングローンが残されていることがわかることも少なくありません。
そのまま相続すれば相続人が残高を返さなければならなくなるので注意が必要です。
さらに、ありがちなトラブルとして、葬儀に参列して香典を持ってきたかと思ったら、亡くなった方の知り合いと名乗る人が「お金を貸しているから返してほしい」と借用書などを突き付けてくるケースもあります。
知らない相続人の存在で戸惑う
遺産分割協議をするにはすべての法定相続人が話し合いをして合意する必要があり、そのためにはまず、すべての法定相続人と連絡を取り合わなくてはなりません。
通常、亡くなった方の出生時から亡くなるまでの原戸籍を調べますが、思わぬ隠し子が見つかってショックを受けるケースもあります。
亡くなった方が再婚されている場合、以前の配偶者との間の子どもも法定相続人になります。
連絡をとりたくても連絡先や所在さえわからなくて困ったり、連絡がついても「自分は要らないから」と伝えてきたりするケースは珍しくありません。
要らないなら揉めなくていいと思われるかもしれませんが、要らない場合でも遺産分割協議書に自署をして、実印を押す必要があります。
要らないから関係ないとばかりに放置され、相続の手続きが進まなくなることも、ありがちなトラブルの一つです。