株を相続するために必要な手続き
相続財産の中に株があるとき、投資経験がないから困るという方は少なくありません。
家族や親族が亡くなったからといって、株はすぐに相続人が取引できるようにはならないので注意が必要です。
値上がりして、今が売るには絶好のタイミングだというときでも、あるいはこれ以上待つと値下がりして損失が出るというときであっても、まずは遺産分割協議を行い、名義書換をしないといけません。
株式の所有権を移転しない限り売買はできないので、早めに相続の手続きを進めていくことが大切です。
相続財産の確定と法定相続人の確定
株の取引をできるようにするためにはすべての法定相続人がそろって、遺産分割協議を行い、株だけでなく土地や建物などの不動産、あるいは預貯金や現金、さらにその他の財産などをすべて明確にしなくてはなりません。
全員の合意に基づく遺産分割協議を実施し、遺産分割協議書を作成、他の必要書類と合わせて故人が取引をしていた証券会社に名義書換を請求してはじめて株式を取得できます。
証券口座開設も必要
遺産分割協議の結果、株式を取得することになった相続人は、証券口座がないと名義書換によって株式を得ることができません。
たとえば、A証券会社に故人が株式を預けて運用していた場合には、A証券会社の口座開設が必要です。
相続人がすでにB証券会社にて自分で株取引を行っており、今後は相続した株式をB証券会社の自分名義の口座で運用したいという場合も、まずは、故人が運用していたA証券会社でご自身名義の口座を開設することが求められます。
新たに開設したA証券会社でご自身名義の口座に名義書換をした株式が移転されるので、それをB証券会社へと移転請求することが必要です。
A証券会社の故人名義の口座から、いきなりB証券会社のご自身名義の口座には移せません。
証券口座の開設にあたっては、相続とは関係なく、一般的な証券口座開設のルールに従います。
本人確認書類の提示やマイナンバーカードの番号の記入、資産状況や投資経験などの調査項目に応えて口座開設が必要となるため、手間や時間がかかるので注意しなくてはなりません。
各証券会社への請求
株を相続するには、故人名義の証券口座がある証券会社に対し、自分名義の口座を開設するとともに、株の名義書換を請求することが必要です。
法定相続人全員の自署と実印が押された遺産分割協議書と全員の印鑑証明書、故人の出生時から死亡時までの原戸籍と自分が法定相続人であることを示す戸籍謄本、住民票などの必要書類をそろえて提出しなければなりません。
故人と同じ証券会社の口座なら名義書換が完了次第継続運用や売却の取引ができるようになりますが、証券会社を移転する場合はさらに時間がかかります。
遺産分割協議書の作成や戸籍謄本や住民票の取得は、行政書士に依頼することができるため、不備や時間を抑えたい人は活用するのがおすすめです。