山の相続には名義変更や届出が必要
山を相続する場合、山林の所有権を引き継ぐことになります。
山林は不動産なので名義変更が必要ですが、規模が大きすぎるためイメージが湧きにくいかもしれません。
基本的に家や土地と同じく不動産に該当しますので登記名義の変更などをしなければなりません。
そして山林に関しては「届出」も必要となるため、通常の不動産より手間がかかることを認識しておきましょう。
山林相続には3つの手続きがあります。
所有者届出手続き(市区町村)
相続人は90日以内に市区町村へ「所有者の届出」が必要です。
相続を証明する戸籍謄本、山林の位置を示す図面などが必要ですので書類を用意して自治体の窓口へ行ってください。
届出をしないと10万円以下の罰金が科される場合があります。
名義変更手続き(法務局)
山林の所有名義変更は法務局で行います。
故人の出生から死亡時までの戸籍謄本、住民票の除票、相続人の住民票、印鑑登録証明書などが必要です。
遺言書によるものか遺産分割協議書によるものかで必要書類が異なりますので問い合わせたほうが確実です。
相続報告(森林組合)
森林組合に報告し、今後の希望を伝える必要があります。
売却するにせよ管理を続けるにせよ、森林組合に意思表示しておくことで買い手や借手を見つける協力を得ることが可能となります。
いずれにせよ、山林の維持管理は一個人でできるものではありません。
資産活用するためには森林組合の力を借りるのが一番です。
相続税はどれくらいか
山林の相続には相続税がかかる可能性があります。
種類によって評価方法が変わるため、計算するには山林の評価が必要です。
たとえば、純山林は市街地から離れた宅地の影響が及ばない山林のことですが、多少近隣宅地による影響を受ける中間山林とともに「倍率方式」を用いて評価します。
また、市街地にあり宅地の影響を大きく受ける市街地山林では、「比準方式」が用いられる場合があります。
このように山林の相続税評価方法はそれぞれ異なり、かなり複雑な計算となるため税理士への相談が必須と言えます。
正確に算定しなければ税金面で損をする可能性がありますので、正しく計算することが重要です。
もし相続したくないなら
山林に関しては相続手続きも面倒なうえに管理手間がかかり、維持が非常に難しいのが事実です。
もし相続したくないと考える場合には、いくつかの方法があります。
まず、自治体が寄付を受け入れてくれる可能性があります。
ただし活用できる環境でない場合、受け付けてもらえない可能性もあるため、自治体の窓口で相談してみるとよいでしょう。
ほかにも民間会社や個人で受け取ってくれる場合もあります。
ただし寄付する場合も事前に法務局で名義変更を行う必要があります。
そもそも相続したくないという場合には、相続放棄が考えられます。
ただしその場合は、山林以外の財産も一切相続できません。
最後は売却する方法ですが、これは自力で買い手を探すのは大変困難です。
森林組合や山林バンクの協力を得て、全国から買い手を募るのがおすすめです。