高齢の親を持つ方へ
親にはいつまでも長生きしてほしいと思っても、人の死は必ずいつかは訪れます。
高齢になればなるほど、死期が迫っているのは紛れもない事実です。
親を持つ子どもとしては、亡くなったら遺産はどうするのだろう、どうやって分ければいいのだろうと考えることや、そもそもどんな遺産があるのかすべて把握していないといったケースも多いのではないでしょうか。
もっとも、亡くなったときのことを親には聞きにくいと遠慮してしまう方は少なくありません。
また、親の中には「死んだときの話をするな」「自分が死んでからやってくれ」と怒ってしまい、話ができないケースも少なからずあるものです。
とはいっても、遺産の内容さえわからないのでは、いざ相続が生じたときに困ってしまいます。
複数の金融機関に少額ずつ預貯金が分散していたり、子どもが知らないところで株式投資や金の積み立てなどをしていたり、昔に相続した田舎の山林を所有していたりすることもあるかもしれません。
亡くなってから預金通帳やキャッシュカードをチェックしたり、契約書類や権利証などがないかを探し出したりするのは大変です。
親が死ぬ話なんてしたくないという気持ちも、死んだときのことを聞かれて怒る気持ちもわかりますが、大切なことですので、生前に可能な限り確認をしておきたいところです。
遺言書やエンディングノートの活用と確認
遺産の確認だけでなく、それをどうしたいの意思を生前に確認しておくことも大切です。
自宅は誰に継いでほしいのかをはじめ、残される家族にどのように配分したいか、その思いをできる限り反映してあげことが、親孝行と言えるかもしれません。
そのためには、単に口頭で確認するのではなく、民法の形式に沿った遺言書を作成することが必要です。
相続人となる子どもが口出しすることはできません。
自己に有利な内容にしてしまう可能性があり、相続人の一人が遺言書の作成に影響を与えることは認められないからです。
そのため、遺言書を書くことや書き方の示唆にとどめ、今流行りのエンディングノートなども一緒に渡して、老後のことやお葬式のこと、死後のことについて、少しずつ考えてもらうように優しくお願いしましょう。
遺言書を作成した場合には、どこに保管したかをエンディングノートに書き残してもらったり、銀行の貸金庫に預けたり、公証役場で保管してくれる公正証書遺言にしたりすることがオススメです。
せっかく書いても、亡くなった際に所在がわからなければ、遺産分割にあたって故人の遺志を反映できないためです。
人の死はいつ突然訪れるともわかりません。
万が一に備えて書き残したものがあっても、その存在や保管場所などを知らせるのはまだ少し後でもいいと思っている間に突然の事故や病気で亡くなってしまうケースもあります。
また、書いておけば見つけてくれるだろうと気軽に考えている方も少なくありませんので、保管場所は明確にしておくことをおすすめします。