ミステリー作品などで腹違いの兄弟が遺産をめぐって争うというテーマはよく登場しますが、現実でも異母兄弟・異父兄弟がいる方は珍しくありません。
親が亡くなり遺産相続をすることになった場合、腹違いの兄弟の間に遺産を受け取る割合に違いはあるのでしょうか。
腹違いの兄弟にも遺産相続の権利は発生
まず大原則として、遺産相続において異母兄弟間の取り分に差は生じません。
腹違いの兄弟が3人いて、すでに故人の配偶者が亡くなっており、3人の子どもだけで遺産を分け合う場合は、それぞれ3分の1を受け取る権利を有します。
ただし、離婚した配偶者ではなく愛人の子や隠し子が遺産を受け取るためには、故人の子どもとして認知されている必要があるので、注意が必要です。
認知されていれば、この「非嫡出子」と呼ばれる子どもも他の兄弟と全く同じ割合で遺産を受け取れます。
遺産相続の権利は一緒に暮らしているか・どれだけ深い愛情があるかによって左右されるものではありません。
夫婦の間に生まれた子どもが、愛人との間にできた子どもに対して良くない感情をもっていたとしても、遺産は正当に分け与える必要があります。
遺産を分割相続してから、腹違いの兄弟が親が亡くなったこと・遺産相続の権利があることを知り相続を要求した場合は、分割協議そのもの
をやり直さなくてはならないのです。
遺産争いになる前に話し合がベター
兄弟間あったとしても、いつもスムーズに遺産分割が行われるとは限りません。
よくあるケースとしては、兄弟のうち誰か1人が老後の故人を介護・世話していて、病院や施設の費用も支払っていたというケースです。
このような場合、自分にはより多くの遺産を受け取る権利があると主張するのも、理解できるのではないでしょうか。
遺産分割協議は話し合いが上手くいかないと、その後の遺族の関係がこじれてしまうこともあるので注意が必要です。
争いにならないよう、故人が健在のうちに話し合いの場をもち、故人に遺言書を作成してもらうなど、遺産問題の対策をとっておくほうが賢明といえます。
争いの可能性がある場合は弁護士への相談を
たとえ個人が遺言書を作成していたとしても、遺言の内容に遺族の一部が納得できないというケースは少なくありません。
遺族間で遺産の分割に関して円満解決がなされない場合は、専門家の仲裁をあおぐ方が賢明です。
遺産相続に関する専門家は弁護士・司法書士・行政書士などが考えられますが、遺族間のトラブル・法律問題についてアドバイスをあおぐのであれば弁護士が適任といえます。
弁護士以外の方が報酬目的で法律相談に応じるのは、非弁行為として明確に禁止されている行為です。
将来的に家庭裁判所で争う可能性を視野に入れると、単なる書類の手続きだけでトラブルが解決できない場合には、弁護士に相談するしか手段がありません。
弁護士に相談するとなれば高額な費用が発生してしまいますが、特に不動産の相続などの重要な問題を解決するためには、弁護士の知識とスキルが必要です。