近年、1人暮らしの高齢者をはじめ、若い方でも独りきりで誰にも看取られずに部屋で亡くなられるケースが増えています。
突然の病気をはじめ、貧困による餓死や凍死、熱中症など、その原因はさまざまです。
日ごろあまり人との付き合いがない方や、外部との連絡や交流が少ない方の場合、亡くなってもしばらく発見されないことも少なくありません。
臭いなどが問題になって近隣住民から大家さんや不動産会社、民生委員などに連絡が入って、ようやく発見されることが多いです。
孤独死でも相続人は存在する
孤独死をした場合、部屋のなかにある財産や、残されている現金や預貯金、その他の財産はどのように処理されるのでしょうか。
孤独死される方のなかには生活に困り、相続できるような財産がないケースもありますが、財産をもっている方でも孤独死問題は起こり得ます。
孤独死という言葉の響きから、誰も身寄りがないと思われがちですが、独りきりで亡くなっただけで必ずしも家族や親族がいないわけではありません。
家族が遠方に住んでいる、家族と疎遠で連絡を取り合っていなかった、親族とほとんど交流がないなどのケースは多いですが、法定相続人に該当する人がいる場合も多いです。
よくあるケース
近年、離婚をされる方が増えていますが、離婚をされた方で孤独死を迎える方もいます。
離婚をされた場合、元配偶者は相続人にはなりませんが、子どもがいれば法定相続人になります。
小さい頃に離婚して以来ほとんど顔も会わせていない、不倫やDVなどが原因で離婚後は一切連絡をとっていないといったケースも多く、その結果として気にかけてくれる人がいないまま孤独死を迎えることも増えているのです。
家族や親族と連絡をとろう
孤独死された方の法定相続人は離婚した子どもとは限らず、兄弟姉妹であったり、甥や姪であったり、若い方の場合には親や祖父母であるケースもあります。
まずは、賃貸契約などの際に確認できた身元保証人などに連絡をして、法定相続人でなくてもいいので、家族や親族と連絡をとる必要があります。
連絡できる相手がいない場合、誰が法定相続人なのかを調べるには戸籍謄本をチェックすることが必要です。
行政書士は国家資格者として、戸籍を取り寄せて調べることが可能です。
相続人を見つけられないケース
法定相続人がわかっても連絡がとれない場合に、遺産を渡したい人や寄付をしたいといった故人の意思がわかる遺言書もない場合は、利害関係人等が家庭裁判所に申請して、相続財産管理人の選任を行います。
相続財産管理人が選任されると、まずは相続人捜索の公告を行います。
このとき、相続人捜索の結果も相続人が現れず、見つからないときにはどうなるのでしょうか。
家庭裁判所は被相続人と特別の縁故のあった者の請求を受け、相当と認めるときには相続財産管理人への報酬などを支払った後、残った相続財産の全部または一部を与えることが可能です。
特別縁故者がいない場合や、財産分与が認められない場合、相続財産は国庫に帰属することになります。