在日外国人が遺言書を作成する場合、どの国の法律に基づいた遺言書を作成したらいいのか疑問に思うかもしれません。
また、外国に保有している財産を含む遺言書の作成方法や、国際相続に関する基礎知識が得られずにお困りの方もいらっしゃるでしょう。
基本的に、遺言書は国籍を有する国の法律に基づいて法的効力の有無が判断されますが、国によって対応が異なります。
被相続人が外国に居住していて国をまたいで相続を行う場合は、作成した遺言書の内容が無効とならないようにするためにも、どの国の法律が有効になるのか、あらかじめ確認しておく必要があります。
そもそも法的に有効な遺言書とは
家族間での財産をめぐる遺産相続のトラブルを防止するため、あるいは問題を解決するために、遺言書が作成されます。
遺言書は相続を円滑に進めるために重要な役割を果たしますが、定められた方式で作成されていないと法的な効力をもちません。
日本国内で日本人が作成し、法的に有効となる遺言書には、普通方式遺言と特別方式遺言の2種類があります。
また普通方式遺言は作成方法により、すべての文面を手書きで作成する簡便な自筆証書遺言、公証人と商人が立ち会いのもと公証人に遺言の内容を伝えて作成する公正証書遺言、遺言書の内容を公開しない秘密証書遺言の3つにわけられます。
法的に有効な遺言書を作成したいのであれば、相続人として指定する人物や相続させたい財産の記載漏れやミスがないように注意するだけでなく、民法で定められた基準に沿っているか十分に確認しましょう。
外国人が日本で遺言書を作成するために大切なこと
日本に住んでいる外国人が作成した遺言書も、日本の法律が有効な場合には、遺言方式の準拠法に関する法律第二条で定められている三号と四号の条件を満たすため、法的効力をもちます。
ただし、国際相続を行う場合は、どの国の法律に従うべきかなど、遺言の作成方法と成立要件をわけて確認する必要があります。
作成した遺言書の有効性と、遺言書に書かれている内容が法的な効力を伴うかどうかは、国の法律によって判断が異なるので注意しましょう。
遺言書の書式については、多くの国に同様のルールがあるため、日本の法律に基づいて作成すれば問題が生じることはありません。
外国人が自筆証書遺言を選択した場合、法的に問題はありませんが、遺言作成者や相続人、財産が外国にある場合はやや注意が必要です。
なぜなら、海外で保有する財産に対しては、財産のある国における法律に従う必要があるからです。
自筆証書遺言においても外国の資産を遺言書に含めること自体に問題はないものの、現地での有効性が確認できていなければ、公正証書遺言によって作成するほうが安心できるかもしれません。
不動産など資産を複数の国に保有している場合には、国の数だけ遺言書を作成するなど、煩雑な手続きを伴うため、あらかじめ国際相続について詳しく知る専門家に相談したほうがよいでしょう。