遺される家族にできるだけ負担をかけたくないという理由で生前整理をする方は、年々増加しています。遺産分割に向けた準備をするのも生前整理の1つで、財産と分配の割合を明確にしておくことで、余計なトラブルの発生を未然に防げるでしょう。
こちらでは遺産分割の事前準備の方法と注意点、分割協議に必要な書類で押さえておくべきことを、横浜市で遺産分割の相談に対応している行政書士・富樫眞一事務所がご紹介いたします。
目次
事前準備は計画的に行うことが大切
遺産分割に関する相続相談をする際は、まず内容を整理しやすいようにメモを作成します。また、相続をする際のスケジュールを把握しておくと、遺された家族が何に時間と手間をかけなくてはいけないのか、どこでトラブルが起こりやすいのかの予測ができ、事前準備がしやすくなるでしょう。
ここでは、必要なメモや相続のスケジュール・スムーズに進めるための注意点を見ていきます。
メモの内容やスケジュールについて
相続相談をする際は、事前準備としてメモの用意やスケジュールの確認を行いましょう。
まずは、メモに書いておくべきことをご紹介いたします。
親族関係図
親族関係図があると、誰が法定相続人なのか、その法定相続人に与えられる法定相続分がどのくらいなのか、遺留分はいくらなのかがはっきりとわかります。
親族関係図は立派なものでなくても問題ありません。被相続人を中心として、配偶者・子供・孫・親・兄弟姉妹・その子供などの記載をしてあるメモで十分です。
時系列
時系列のメモでは、生前贈与の時期や金額を把握したり、被相続人の遺言能力をチェックしたりすることができます。
遺産内容
遺産内容のメモは、所有している不動産・預金・株式・生命保険など簡単な財産目録のようなものです。預貯金は通帳や残高証明書・不動案は登記事項証明書などがあるとより相談がスムーズに進められます。
次に、相続のスケジュールを解説します。
相続相談は自分のためだけでなく、やはり遺される家族のために行う方が多いです。どのようなスケジュールで相続を行うのかを知っておきましょう。
相続の開始
被相続人が亡くなったあと、相続が開始になります。まずは被相続人の意思が反映されている遺言書がないかどうかを確認し、実際に法定相続人の確定を行う必要があります。
また、相続財産の確定も同時に行います。この時点で遺言書がきちんと用意されており、法定相続人や相続財産もすぐにわかるようにしておくことで、遺された家族は手間をかけずに相続手続きが始められるでしょう。
相続の放棄や限定承認
相続放棄は相続人各自が行えます。ただし、限定承認は相続人全員で合意をする必要があります。相続放棄・限定承認は原則として相続開始後3ヶ月以内です。
所得税の申告
被相続人が亡くなった日までの所得税を申告・納付します。これが準確定申告です。
遺産分割の相談と分割協議書の作成
相続人同士で、遺産分割の相談を行います。遺産分割協議書は相続人全員の同意が必要なので、全員の意見をすり合わせなくてはいけません。
相続税の申告
相続開始後10ヶ月以内に、相続税の申告と納税を行います。相続人同士で意見が合わないと長引いてしまうケースが少なくありません。相続税の申告期限に間に合わないという事態を防ぐためにも、財産を遺す側が財産管理をしっかりと行い、分配方法も決めておくとよいでしょう。
名義変更
土地や建物の財産があった場合、名義変更を行います。名義変更はしないままでも特に問題はありません。名義変更がされていないと売却手続きが進められないので、早めに名義変更をしておきましょう。
スムーズに進めるための3つの注意点
遺産分割をスムーズに進めるための注意点は、以下のとおりです。
全相続人を調べる
相続人を確定させることは、相続手続きで最も重要であり、初めに行うべきことです。あとから実は他にも相続人がいたとなると、遺産分割の話が進んでいても、すべて無効になってしまいます。スムーズな遺産分割のために相続人をはっきりとさせておきましょう。
財産整理をしておく
どこにどれくらいの遺産があるのか明確になっていないと、相続人は財産調査から始めなくてはいけません。現金・不動産といったプラス財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスとなる財産も洗い出しておきましょう。相続財産目録を作成しておくと、相続人の負担も軽減します。
遺産分配の希望を明確にする
遺産を誰に、どの割合で分配したいのか、どの財産を取得させたいのかを明確にしておくと、相続人は基本的にその内容に沿って分配を行います。不特定なことがあると、そこから相続人同士のトラブルにつながりかねません。不備がないように、遺産分配の希望を明確にしておくと良いでしょう。
以上が、遺産分割をスムーズに進めるための基本的な注意事項です。
相続問題は身内同士のトラブルになりやすく、その後も尾を引く問題になってしまいます。生前にできる限りのことをしておくと、相続人の負担も軽減し、トラブルにも発展しづらいです。
わからないこと・不安なことがあれば、専門家への相談も検討しましょう。相続のプロに相談することでより確実に、そしてスムーズに相続問題が解消できるでしょう。
必要書類で押さえるべきこと
遺産分割をする際、遺産分割協議書の作成が必要になるケースがあります。遺産分割協議書の作成には様々なルールが存在するので、作成するためには行わなければならない準備もあり、不備があるとやり直しになってしまいます。手間を省くためにも、十分注意して作業を進めましょう。
遺産分割協議書の作成について
遺産分割協議書は、遺産分割の話し合いで決定した内容を明確にするための書類です。遺産分割協議書の目的は、相続人間での合意・確認を明確にすることはもちろん、不動産の名義変更や預貯金の解約・相続税の申告書への添付などにも必要になります。
相続人全員の同意が必要
遺産分割協議書は、相続人1人の意思で作成できるものではありません。相続人全員で話し合いを行い、同意した内容しか記載ができないのです。そのことがわかるように、相続人全員が署名して実印を押印する必要があります。
遺産分割協議書が必要になるケース
遺産分割協議を行った結果、遺産分割協議書を作成する必要があるのが、下記の場合です。
- 遺言書が存在せず、法定相続分とは異なる割合で遺産分割を行うとき
- 遺言書は存在するが、記載がない財産が発覚したとき
遺産分割協議書を作成する際のポイント
遺産分割協議書は、分割協議をした内容がはっきりと記載されていなければ作成する意味がありません。誰がどの遺産を相続するのか、具体的に記載する必要があります。不動産なら地番や家屋番号、金融資産なら銀行名や口座番号などを記載しておくと、具体的で理解しやすいでしょう。
作成前に必要な作業について
遺産分割協議書の作成をする前に、行うべき作業は以下のとおりです。
遺言書の有無をチェック
遺言書があり、遺言書に従って相続財産を分配する場合は、遺産分割協議書を作成する必要はありません。
まずは被相続人が遺言書を残していたかどうかを確認します。遺言書の有無によって、相続財産を誰がどれくらいの割合で相続するのかが決まります。
一方、遺言書がない場合は法律で定められた割合で相続財産が分配されるのが一般的です。しかし、必ず定められた割合で分配しなければいけないというわけではありません。相続人全員の話し合いで割合を決めることができ、その場合、遺産分割協議書の作成が必要です。
相続人を確定させる
相続人の確定は、遺言書の有無をチェックすると同時に行うべきことです。思わぬところに相続人が存在しているというケースも少なくなく、分割協議を始めてからいきなり相続人が現れると、また一から分割協議を行わなければなりません。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せると、法定相続人が調査できます。
相続財産の調査をする
遺言書があり財産整理がされていても、漏れている財産がないかをチェックしましょう。不動産は、固定資産税の納税通知などで確認できます。
預貯金は自宅に通帳が保管されていないかを確認してください。意外と漏れているのが、借金や未払いの税金といったマイナスの財産です。被相続人本人もマイナスのものが財産であるという認識がない可能性があるので、改めて調査しておきましょう。
遺産分割協議をする
遺産分割協議書の作成には、遺産分割協議が必要不可欠です。相続人全員で行う必要があり、1人でも不参加だと協議が成立しません。
相続人に未成年者がいると代理人が必要です。通常は親権者が代理人になりますが、その親権者の相続人である場合は特別代理人を選任しなければなりません。もし相続人全員が集まって協議できなくても、分割案を書面にして相続人に郵送・FAXで送り、同意を得るという方法もあります。
横浜市での遺産分割には様々な事前準備が必要!
遺産分割は、非常に手間と時間がかかるものです。「うちには少ししか財産がないから」と考えて、特に遺産分割の準備をしないまま亡くなると、相続人同士で分割の割合が決められず、トラブルに発展する恐れがあります。少しの財産であっても、ご自分が築いた財産です。相続人同士が揉めたり困ったりすることがないように、事前準備をしておきましょう。
遺言書の作成・遺産分割割合の決定をしておくと、スムーズに遺産分割が進められるはずです。その際、専門家に相談することでより正確な準備が行えます。
横浜市にある行政書士・富樫眞一事務所は、国・地方行政の実務経験による専門知識と実行力を活かし、個別の事案解決に努めています。遺言書作成はもちろん、遺産分割協議書作成、戸籍取得、相続財産の調査、遺産目録作成、相続財産の名義変更手続きなどを承りますので、お気軽にご相談ください。
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